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評価を得るための写真

ここ数日NLPAに応募する写真を選定していて、どれがいいのかがわからなくなってしまったので少しここで言葉にして自分の気持ちや考えを整理したいと思う。別にここに書く文言については誰かに向けた話とかではなく自問自答するために書く。


さて、評価を得るための写真とはなんなんだろう。


Matt Payne氏が創設したこのフォトコンペNLPAは僕が撮影するジャンルにおいては受賞作品のレベルが世界中のコンペと比べても段違いに高いし好きなものばかりだ。今年で3年目になるが僕自身正式には受賞したことはない。第2回のブックにはHighly Commendedとして選ばれ載ることはできたので最高の成績としてはこの1枚だけとなる。

Judgeの好み等を排除してもこの1枚をベースとして考えて、これ以上の作品を撮影しなければ受賞という高台には手も届かないだろう。

これ以上の作品とはどういうものか考えた時に、いくつか思いつくものとしては条件、構図、色なんだろうか。受賞作品を見ていると条件というよりかは構図や色など視覚的効果の高い要素が高水準で散りばめられている作品が多い気がする。優先順位はないが、条件というのは物珍しい気候条件よりも視覚的に影響を与えるような光などの条件の方が大事な気がした。

あとは珍しさに対する価値観の違い。日本でとんでもない作品だこれは!と思っていて撮影した写真も海外ではごく当たり前の光景であったりすることも多々ある。例えば巨木。確かに目は引くし被写体の持つパワーウェイトは非常に大きくはあるが、海外にはそういった巨木は珍しくはないのかもしれない。

収まりのいい3分割構図の一本木なんかも割と早い段階で落とされたりもしていた。


ようはそこに行けば誰でも撮れるような写真は評価されない。そこへ行くまでの体力や距離、条件の良し悪しの問題は完全に除外されている。全員そこへ問題なく行けるものとして考えられていると思う。彼らの審美眼や想像力は計り知れないほど高い。知らない場所の写真一枚を見ても「もし自分がそこにいたら、この写真は余裕で撮れるだろう」という考えは容易にできるんだと思う。なのでそういった写真は早々に落とされる確率が高い。よっぽど繊細な仕上げをしていない限りは難しいだろう。僕にはとてつもないレタッチ技術がないのでこれで勝負するのは分が悪い。


じゃあどうしたらいいのか。それは想像力だったり、ひらめきなんかを構図に落とし込むことだと思う。彼らは構図に非常に注目している。今回Highly Commendedをもらった作品もタイミングよく木の影が前景の木にかかり、奥行き感を持たせた立ち位置で構図を練り込んだ。この時の条件は12時頃の快晴で言ってしまえば最悪な条件だった。別にこれを撮りに行ったわけではなく、しっかり日の出前から別のポイントで最高な写真を収めている。そのあとの帰りにふらっと寄っただけのこの場所で撮影した作品が評価されたのだ。

僕は視線誘導という言葉があまり好きじゃない。撮影者が矢印を出せば後付けでも説明できるから。相手の感覚でこちらの視線を誘導して欲しくない。説明しなくても勝手に視線が移っていくような写真にするのが撮影者の力の見せ所かなと思う。なのでこれは全く説明もせずに彼らが感じて最悪な条件にも関わらず評価してもらった1枚なのかなと思った。


もう一つ感じたのはそんなもの撮る!?という作品。これもあっと驚くような作品が選ばれている。松ぼっくりやわかめの作品がブックに載っている。これが一般思想から外れた想像力といったもので、普段の生活ではよく目にするものでもカメラを通し作品として見た時に非常に目の肥えた審査員にはそれらがとんでもなく珍しいものへと変換される。わかめの作品については色々な要素が詰まっていて再現性は低いが、松ぼっくりは"真似る"のはとても簡単だった。が、真似ではなくこれを美しいと思って撮る、撮ってみるという想像力やひらめきがあって、この瞬間に"松ぼっくり"の第一人者として空想の商標登録という印が押された。

世界のフォトグラファーの作品はすごいし、日本でも真似て見たくなるが、結局は世界中から見れば見慣れた写真に過ぎない。インスタでは一般ユーザー含め全員がその作品を見れるために評価はされるだろうが、こういったコンペでは話は別になる。


再三勝負や評価といった言葉を出しているが、このために写真を撮っているわけではないし、これに選ばれたからといって天狗になるのもお門違いだけど、世界中に何万といるフォトグラファーの中に埋もれないためにもこういった場で評価され、自分なりに分析することはとても大切なことだと思う。


締切の5月31日までもう少し時間はある。

ここまで話した内容に結論は出ないだろうけどぎりぎりまで考えてみようと思う。

1 Comment

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正解のない世界は評価する者が正解。

日本では 自然=動物 的なコンテストばかりで、案の定審査員は動物写真家だったりします。なので審査員の作品をよく観察して考えるのが近道なのかな、っと・・・

とは言うものの、なんといっても自分が良いなと感じた物を撮るのが一番幸せですね!

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